「もしかして…切れた?」「これって痔かも…?」
痔は妊娠中に多いトラブルです。私も3回出産しましたが、毎回痔になりました…。痛いし、恥ずかしいしなかなか治療に踏み切れない人も多いよう。妊娠中や冬の時期は痔になりやすい条件がそろいやすくなっています。痔になる原因と治療法や予防法をご紹介します。
痔の種類にもいろいろあります
痔は、食生活や運動に排便など生活習慣が発症にかかわっています。妊娠中は、赤ちゃんに水分を優先的に回すので水分不足になりがち。さらに運動量も減るので痔になりやすいのです。
一口に痔といっても大きく分けて3種類あります。
痔核(いぼ痔)
最も多いのがコレ。肛門の内部や出口には、静脈そうという細い血管の集まりを主体とした肛門クッションという柔らかい組織があります。肛門に強い負担がかかって血液が滞って、この組織がいぼ状に膨らむのがいぼ痔です。内部の粘膜にできると内痔核、肛門の皮膚の部分にできると外痔核といいます。
排便時に破れると便器に広がるような出血が起こることも。内痔核は、痛みはあまりないですが、出血しやすいのが特徴。
裂肛(切れ痔)
固い便の排泄や下痢で肛門の出口付近の皮膚が切れた状態がいわゆる切れ痔です。私も過去3回の妊娠で、切れ痔になりました。痛みはそれほどなくて血がでるので、不正出血!?早産!?と焦ったものです…。
痔ろう
肛門の奥の直腸との境に大腸菌などによる感染症がおきて膿がたまり、進行して肛門の内外を貫通してしまうもの。
痔の原因
痔核と裂肛は、生活習慣の影響が大きいです。特に排便時に肛門に圧力が長引いたり、便が硬かったりゆるかったりすることで肛門に負担がかかるのが原因です。便秘で硬い便をいきんで出すときだけでなく、下痢で勢いよくでるときも刺激になります。
座りっぱなしや立ちっぱなし重いものを持ち続けるときや妊娠・分娩で肛門に腹圧がかかることで発症します。
痔の予防
痔になるのを予防するには、肛門の周りに余計な圧力や負担をかけないこと、便秘な何べんを避ける食生活が大切。
適切な水分補給を
妊娠時には胎児に優先的に水分がおくられるので、母体は水分が不足しがちです。1日に食事以外で1.5L程度の水を飲むようにしましょう。
起き抜けに水をコップ一杯飲むのもおすすめ。腸の蠕動運動が促されるので、便秘対策になります。
腸内環境を整える
ヨーグルトや乳酸菌飲料をとって腸内細菌のバランスを良くしましょう。豆類やこんにゃくなどの不溶性の食物繊維は、便の量を増やすので、腸の蠕動運動をうながします。
便意をガマンしない
便意には波がありますが、一度我慢すると次の波がくるまでの間に便から水分が失われて固くなってますます出にくくなってしまいます。便意が来てから5分以内にトイレに行きましょう。
妊娠中に痔になったら何科にいけばいい?
痔になった!?と思ったらどうすればいいでようか。トイレットペーパーに血がつく程度の切れ痔なら自然に治ることも多いですが、排便時の出血が続くようなとき、痛みが気になるときや出血が多いとき、無痛の出血の場合には病院に相談するようにしましょう。
基本的には肛門科や消化器科で診てもらえますが、妊娠中の痔は産婦人科でも塗り薬を処方してもらえます。
排便時の出血が続くときには痔だけでなく大腸のポリープやがんなどが疑われますので、大腸内視鏡検査を受けた方がいいのですが、早産などの危険性があるので、妊娠中は基本的には産婦人科で相談するといいでしょう。
私の場合ですが、初産のときに産婦人科では「切れ痔みたいなんです」と言っただけで塗り薬を処方され、肛門診察はありませんでした。2回目のときには内診のついでに薬を塗ってもらいました。3回目のときには消化器内科で肛門診察がありました。毎回同じ軟膏(ポステリザン)を処方されましたよ。
痔の治療
病院では軟膏などの塗り薬、座薬、飲み薬などが処方されますので医師の指示に従いましょう。普段の生活では清潔を心がけることが大切。温水洗浄便座でキレイに洗浄しましょう。痔の人がトイレットペーパーでのふき取りからウォシュレットに替えただけで薬が不要になることもあるそう。ただし使いすぎには注意して。
痛みを和らげるには、いぼ痔と切れ痔の場合には温めます。シャワーではなく、お尻をぬるま湯につけたり、温めたタオルを患部に当てます。下着でこすれてかゆくなることがあるので、下着は温水で洗って清潔にしておきましょう。
突然痛みが出た場合には横になって全身の力を抜きます。脱出物がある場合には、清潔にして押し戻します。
大量の出血の場合は、貧血を起こすこともあるので、患部にカット綿などを当てて休み、病院を受診しましょう。痛みが強い場合も病院を受診します。